新田珈琲のドリップ式コーヒーバッグを、もう一段おいしく楽しむためのガイドです。湯温・湯量・注ぎ方を少し整えるだけで、手軽な一杯がぐっと豊かな味わいに変わります。初級から上級まで、ご自身のペースで読み進めてみてください。

コーヒーの粉を不織布のフィルターに入れ、カップに直接掛けてお湯を注ぐタイプのコーヒーです。「ドリップバッグ」「ドリップパック」とも呼ばれます。ドリッパーやサーバーを用意しなくても、計量・抽出ができることが特徴で、本記事では1包8gのコーヒー粉に対してお湯150gを注ぐ淹れ方を基本に解説します。
まずは「お湯の温度」と「お湯の量」、この2つを意識するだけで、コーヒーバッグ(ドリップバッグ)の仕上がりは大きく変わります。難しく考えすぎず、ふだんの一杯にひと工夫を加える感覚で取り入れてみてください。
厳密に計らなくても大丈夫ですが、熱すぎないほうが優しい味わいになります。沸騰したお湯を一度、別の容器に移し替えると、おおよそ85℃前後まで下がりやすくなります。室温や容器の素材によって温度の下がり方は変わるので、何度か試して「これくらいの待ち時間」とご自身の感覚をつかむのがおすすめです。
スケールがなければ、計量カップで150mlを計ってから注ぐ方法でも、十分に再現性が出ます。あるいは「カップのこの線まで」と目印を決めるのもおすすめです。大事なのは、毎回同じ量を注げる目安を持つこと。これだけで味わいが安定します。
最初に少量のお湯を、粉全体が湿る程度に注ぎ、30秒ほど待ちます。コーヒー粉に含まれる二酸化炭素が抜け、お湯が粉のすみずみまで浸透し、その後の抽出で美味しさが引き出されやすくなります。
蒸らしのあと、お湯を3回程度に分けて注ぎます。一気に注ぎ切ると軽い味わいに、少しずつ分けて注ぐと濃いめの印象になります。

注ぎ始めから取り外しまで、全体で2分程度を目安にしてみてください。時間が短めだと軽くあっさりした味わいに、長めだとしっかりした印象に変わります。同じ豆・同じ湯量でも、抽出時間が違うと仕上がりは別物になります。お好みに合わせて時間も調整してみてください。
2分前後を経過したら、最後の落ち方を見ながら取り外します。「ポタポタ」と連続して落ちている間は、まだ味わいが出ている最中です。「ポタン、ポタン」と数秒に1滴になるあたりを目安に取り外すと、ひと口目から最後まで気持ちよく飲める一杯に仕上がります。長く浸けすぎると後味が重くなる場合もあるので、その手前で切り上げるのがコツです。

基本の淹れ方に慣れてきたら、湯温計やタイマーを使って、ご自身の「美味しい」を探してみてください。計るポイントを増やすことで、ドリップバッグの味わいをお好みの濃度に調整しやすくなります。
コーヒーの濃度は、主に以下の3つで決まります(このほか、粉量・粒度・お湯の注ぎ方による撹拌の度合い・バッグの浸かり具合などにも影響を受けます)。
コーヒーは、湯温や湯量だけでなく、「お湯をどのタイミングで、どれくらい注ぐか」でも味わいが変わります。同じ8g・同じ150gのコーヒーバッグでも、湯量の配分を変えるだけで、すっきり系からしっかり系まで動かせるのです。
今回、新田珈琲のコーヒーバッグを使って、3つの注ぎ方で実際に飲み比べてみました(店内での官能評価ベースの記述です)。

※ いずれもトータル150gは同じ。前半に多く注ぐか、後半に多く注ぐかで、味わいの印象が変わります。


酸が明るく、飲み口もすっきりした印象に。ドライブなど、長時間ゆっくりと楽しみたいときにもおすすめです。爽やかなフルーツや甘さ控えめの焼き菓子との相性が良いタイプ。
程よい飲み口のバランス型。コーヒーの持つ味わいを偏らずに引き出すので、コーヒーだけでも、食べ物と合わせても、シーンを選ばず楽しめます。迷ったらこのパターンから。
質感が上がり、酸味よりボディを感じる仕上がりに。クリームを使ったデザートや、チョコレートなど重厚なスイーツとの相性がGOOD。ゆっくり腰を据えて飲みたい一杯です。

コーヒーの味わいは、濃度の濃い・薄いだけで決まるものではありません。酸味と苦味、ボディ(質感)のバランスが、感じる印象を大きく左右します。
美味しいと感じる味わいは、人それぞれです。手軽なコーヒーバッグでも、ちょっとした工夫で味わいを変えることができますから、ぜひご自身のお好みの一杯を探してみてください。
新田珈琲のコーヒーバッグが、日々のひとときに、ささやかな発見と楽しみをお届けできれば幸いです。
コーヒーバッグの湯温は何度が良いですか?
新田珈琲では、85℃あたりを目安にしています。湯温が高すぎると苦味や渋みが強く出やすい印象があり、低すぎると酸味が際立ちやすくなります。85℃前後は、酸味・甘み・ボディのバランスを取りやすい温度帯のひとつとして案内しています。沸騰したお湯を一度、別の容器に移し替えると85℃前後に近づくことが多いですが、容器の素材や室温によって下がり方は変わります。何度か試しながら、ご自身の感覚をつかんでいただくのがおすすめです。
注ぐお湯の量はどれくらいが良いですか?
新田珈琲のコーヒーバッグ(粉量8g)では、トータル150gのお湯を3回に分けて注ぐのを基本としています。濃いめがお好みなら130g、あっさりがお好みなら170gを目安に調整してください。
蒸らしは必要ですか?
蒸らしは、コーヒー粉の内部にお湯を浸透させ、焙煎時に生成された二酸化炭素を抜きながら、成分が溶け出しやすい状態を作る工程です。新田珈琲のコーヒーバッグでは、最初に少量のお湯を注いで30秒待つことを推奨しています。蒸らしがあるとないとでは、香りの立ち方と味わいの厚みが大きく変わります。
どのタイミングで取り外せば良いですか?
コーヒーが「ポタポタ」と連続して落ちる間は、まだ味わいが出ている途中です。「ポタン、ポタン」と数秒に1滴になるあたりを目安に取り外すと、ひと口目から最後まで気持ちよく飲める一杯に仕上がります。
コーヒーバッグでも味わいを変えることはできますか?
はい、湯量の配分を変えるだけで、すっきり系・バランス型・しっかり系の3方向に味わいを動かすことができます。本記事の【上級】セクションで、A(湯量を減らしていく)/B(均等)/C(最初少なく後半多く)の3パターンを比較しています。
計量スケールがありませんが、どうすれば良いですか?
スケールがなくても問題ありません。計量カップで150mlを計ってから注ぐ方法、あるいは「カップのこの線まで注ぐ」と目印を決める方法でも、味わいを安定させることができます。大事なのは「毎回同じ量を注げる目安」を持つことです。
有限会社新田珈琲 取締役社長。1940年創業の自家焙煎店3代目として、福井県敦賀市にて店舗運営・ロースト・抽出指導に従事。
1包に約8gのコーヒー粉が入った、ドリップ式のコーヒーバッグ(ドリップバッグ/ドリップパックとも呼ばれます)。お湯を注ぐだけで、本格的な一杯を手軽にお楽しみいただけます。本記事の淹れ方を、ぜひ新田珈琲のコーヒーバッグでお試しください。